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技術書を執筆するために本当に大事なこと

この投稿は 「技術同人誌 Advent Calendar 2018 - Adventar」 の8日目の記事です。

はじめに

世の中には二種類の人間がいる。
書くのが得意な人間と、苦手な人間である。


私は後者の「書くのが苦手な人間」です。

「技術書典で本まで出しておいて何を言っているんだ」と言われるかもしれませんが、執筆中は、書くことが苦痛でたまりません。

学生の頃、夏休みの感想文(しかも2冊)を最終日までノータッチだったたことがあるくらい本の読み書きが苦手なのです(その後1日で2冊読んで感想文を2つ書き上げたのが私のベンチマーク・オブ・火事場のクソ力になっているのですが、それはまた別の話)。

そんな私がどうやって技術書典の同人誌(180ページ)を書き上げたかという「秘密」についてお話しします。

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執筆に大事な3つの「コウ」

まず、執筆には次の三つの「コウ」が大事です。

  • 実行(ジッコウ)
  • 推敲(スイコウ)
  • 健康(ケンコウ)


「実行」は、まず書いてみること。
書かないことには何も始まりません。はじめの一行を書くこと。そこからすべては動き出します。


そして、「推敲」。
書いた文章は叩けば叩くほど、つまり赤入れすればするほど、強くなって蘇ってくる「サイヤ人」みたいなものだと常々感じています。「せっかく調べたからあれもこれも書き残しておこう」などとすぐに文章をテンコ盛りにしてしまうのが私の悪い癖です。削れば削るほど文章は良くなる、というのは自分の中ではほぼ真理です。


最後に、「健康」。
私の場合は日中は普通に仕事をしているので、執筆の時間はだいたい夜、〆切が近いと明け方までずっと執筆や推敲、技術検証やレビューなどをしていました。今振り返ると、1ヶ月半よく体がもったものだと思います。気力があるときは体を壊さないと言いますが、きっとそうだったのでしょう。しかしながら、日常的に健康な体をキープできないと執筆に大きな支障が出ます。ちょっとしたスキマ時間にも執筆できてしまう環境を作ってしまうと、出かけたり、運動したりする時間が失われてしまいます。執筆は短距離走ではなく、マラソンと捉えてスケジューリングするのがよいでしょう(自戒)。

そして一番大事なこと

上の3つももちろん大事なのですが、本の執筆に一番大事なのは「情熱」です。 これはもう疑いようがありません。

特に〆切が近づくと「あかん。。」「終わらん。。」「とりあえず Hulu でアニメ見よ。。」と何度も投げ出しそうになりますが、それをグッとこらえて机に向かわせるのは「これを絶対世に出すぞ!」と体の奥から湧き上がってくるパッションにほかなりません。そしてそのパッションは、「この本を待ち望んでいる人がいる!」と半ば勝手に思い込むこと、あるいはもっと俗っぽく「どうだ、すごいだろ!」と自慢したいということから湧き上がってきたりするのでしょう。

執筆は本当にツライです。自分で執筆してみてはじめて世に出ている本の裏側の苦労が分かるようになりました。きっとどんな本も著者の情熱がなければ生み出されないのでしょう。今ではそう信じています。

最後に

このように、本というものは著者のいろんな犠牲の上に作られた奇跡の一品です。だから Amazon のレビュry

4月の技術書典4で本を出してから8ヶ月ほど経ちますが、技術同人誌を書く前は想像もしていなかったことが今起こっています。

  • 同人誌をきっかけに仕事の依頼が来た
  • 商業誌の依頼が来た
  • 勉強会や読書会で講師をするようになった
  • クラシックを聴くようになった

最後のは、いつもだらだらと観ていたTVが執筆の邪魔になり、バックグラウンドミュージックとしてクラシックを聴くようになったという変化です。どうやら私はワルツが好きらしく、いい意味でどの曲も曲調が変わらないのがその理由だと分析しています。

久々のポエムでした。