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「道は開ける」を読んだ

元Google米国本社副社長の村上憲郎氏が、「EdTech 新しい学びのシンポジウム 第3回」で「『道は開ける』の各章最後のまとめを、悩んだり落ち込んだりしたときに読んだ」と言っていたのをきっかけに、以前から読んでみたいと思っていたこともあり、今回読んでみたのでその感想。



「道は開ける」は、1948年に発刊された「悩み」に対する実践本で、原題「How to Stop Worrying and Start Living」の方が内容が推測しやすいですね。
聖書や哲学書、医学書、アメリカの著名人や古人などの著作などから「悩み」に関する考え方を学び、自身のスクールでの経験から実例を組み合わせて対策を体系化したものが、この本なのです。

何年も前から自己啓発本は読むのを止めていたのですが、この本をパラパラっと立ち読みしたときに、第一章の《われわれにとって大切なことは、遠くにぼんやりと存在するものに目をやることではなく、手近にはっきりと存在することを実行することだ》という文句を見て、「よし、読もう」と思い立ちました。


特に目からウロコだったのは、第19章の最後に書かれている、宗教で「信じる者は救われる」と言われることのへの分析について。
「祈る」ことで、

  • 何のために悩んでいるかを言葉で正確に表現する助けになる
  • だれかと重荷を分担しているような感じを与える
  • 場合によっては近親者や友人にさえ打ち明けにくい悩みもある。そういうときは、祈りあるのみ
  • 行為という積極的な原理を強制する。これこそ行動への第一歩

という理由によって、神を信じる信じないを別として「心理的欲求を満たしてくれる」というのです。これはその通りだな、と思いました。




最後に村上憲郎氏に倣って、各章最後のまとめをしてみました。

Part 1 悩みに関する基本事項

第1章 今日、一日の区切りで生きよ

過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。今日一日の区切りで生きよう。

第2章 悩みを解決するための魔術的公式

  • 「起こりうる最悪の事態とは何か」と自問すること。
  • やむをえない場合には、最悪の事態を受け入れる覚悟をすること。
  • それから落ち着いて最悪状態を好転させるよう努力すること。

第3章 悩みがもたらす副作用

「悩みに対する戦略を知らないものは早死にする」

Part 2 悩みを分析する基礎技術

第4章 悩みの分析と解消法

問題を三段階に分けて分析する。「事実の把握」「事実の分析」「決断ーそして実行」

  • 一、私は何を悩んでいるのか?
  • 二、それに対して私は何ができるか?
  • 三、私はどういうことを実行しようとしているか?
  • 四、私はそれをいつから実行しようとしているか?

第5章 仕事の悩みを半減させる方法

  • 一、問題点は何か?
  • 二、問題の原因は何か?
  • 三、いくとおりの解決策があって、それらはどんなものか?
  • 四、望ましい解決策はどれか?

Part 3 悩みの習慣を早期に絶とう

第6章 心の中から悩みを追い出すには

忙しい状態でいること。悩みをかかえた人間は、絶望感に打ち負けないために、身を粉にして活動しなければならない。

第7章 カブト虫に打ち倒されるな

カブト虫=小さな悩み。
気にする必要もなく、忘れてもよい小事で心を乱してはならない。「小事にこだわるには人生はあまりにも短い」

第8章 多くの悩みを締め出すには

悩んでいることの九十九パーセントは決して起こらない。
「記録を調べてみよう」。そして、こう自問するのだ。「平均値の法則によると、不安の種になっていることがらが実際に起こる確率はどのくらいだろうか?」

第9章 避けられない運命には調子を合わせよう

第10章 悩みに歯止めをつけよう

呼子笛=ベンジャミン・フランクリンが子供の頃にずっと高いお金を出して買ってしまったおもちゃ。

  • 一、現在、自分が悩んでいることは実際にどの程度の重要性があるか?
  • 二、この悩みに対する「ストップ・ロス・オーダー」をどの時点で出して、それを忘れるべきだろうか?
  • 三、この呼子笛に対して正確にはいくら支払えばよいのか? すでに実質価値以上に払いすぎていないだろうか?

第11章 オガクズを挽こうとするな

オガクズを挽く=すでに終わってしまったことについてクヨクヨと悩むこと。

Part 4 平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法

第12章 生活を転換させる指針

《行動は感情に従うように思われているが、実際には行動と感情は同時に働くのである。意志の力でより直接的に支配されている行動を規制することによって、意思に支配されにくい感情をも規制することができる。》
《だから、快活さを失ったとき、他人に頼らず自発的に快活さを取りもどす秘訣は、いかにも楽しそうなようすで動きまわったり、しゃべったりしながら、すでに快活さを取りもどしたようにふるまうことである。》

快活に考え行動すれば自然に愉快になる。

第13章 仕返しは高くつく

仕返しをしてはならない。敵を傷つけるようりも自分を傷つける結果となるからだ。私たちはアイゼンハワーの態度を見習おう。つまり、きらいな人について考えたりして、一分間たりとも時間をむだにしないことだ。

第14章 恩知らずを気にしない方法

  • 一、恩知らずを気に病むかわりに、むしろ恩知らずを予期しよう。
  • 二、幸福を見つける唯一の方法は、感謝を期待することではなく、与える喜びのために与えることである。
  • 三、感謝の念は後天的に「はぐくまれた」特性であることを思い出そう。だから、子供に感謝の念を植えつけるためには、感謝の念を持つように子供に教えなければならない。

第15章 百万ドルか、手持ちの財産か?

やっかいごとを数え上げるな、恵まれているものを数えてみよう。

第16章 自己を知り、自己に徹しよう

他人のまねをするな。自己を発見し、自己に徹しよう。

第17章 レモンを手に入れたらレモネードをつくれ

レモン=不快なもの。
「北風がバイキングを作った」
運命がレモンをくれたら、それでレモネードをつくる努力をしよう。

第18章 二週間でうつ病をなおすには

他人に興味を持つことによって自分自身を忘れよう。毎日、だれかの顔に喜びの微笑が浮かぶような善行を心がけよう。

Part 5 悩みを完全に克服する方法

第19章 私の両親はいかにして悩みを克服したか

Part 6 批判を気にしない方法

第20章 死んだ犬を蹴飛ばすものはいない

死んだ犬を蹴飛ばす=人間は相手が大物であればあるだけ、それを蹴飛ばして大きな満足を覚えるものである。
不当な非難は、しばしば偽装された賛辞であることを忘れてはならない。死んだ犬を蹴飛ばすものはいないことを思い出そう。

第21章 非難に傷つかないためには

最善を尽くそう。そのあとは古傘をかざして、非難の雨が首筋から背中へ流れ落ちるのを防げばよい。

第22章 私の犯した愚かな行為

自分の犯した愚公を記録しておいて自分自身を批判しよう。私たちは完全無欠を望めないのだからE・H・リトルのやり方を見習おう。偏見がなく、有益で、建設的な批判を進んで求めよう。

Part 7 疲労と悩みを予防し心身を充実させる方法

第23章 活動時間を一時間ふやすには

軍隊でやっていることを見習って、ときどき休息しよう。皆さんの心臓と同じように働こう。疲れる前に休むのだ。そうすれば、あなたは起きている人生に一日一時間を付け加えることができるだろう。

第24章 疲れの原因とその対策

われわれを悩ます疲労の大部分は精神的原因からきている。純粋に肉体的原因で消耗する例は実にまれである。
「休め、休め。緊張をほぐせ。しかめっつらはやめろ。休め、休め」

  • 一、いつでもリラックスしていること。
  • 二、できるだけ楽な姿勢で働くこと。身体の緊張は肩の凝りと神経疲労を引き起こすという点を忘れないこと。
  • 三、一日の四、五回は自分を点検してみること。「私は実際以上に余計な労働をしてはいないだろうか?私はこの仕事と関係のない筋肉を使っていないだろうか?」と自問するのだ。
  • 四、一日の終わりに再び自問してみる。

第25章 疲労を忘れ、若さを保つ方法

最良の方法は、だれか信頼できる人に悩みを打ち明けること。ほかにも、

  • 一、感銘を受けた作品のために、ノートか切り抜き帳を用意すること。
  • 二、他人の欠点にいつまでもこだわらないこと。
  • 三、近所の人々に関心を持つこと。
  • 四、今晩寝床に入る前に明日のスケジュールをつくること。
  • 五、最後に、緊張と疲労を避けること。リラックスすること! くつろぐこと!

第26章 疲労と悩みを予防する四つの習慣

  • 一、当面の問題に関係のある書類以外は全部机上から片づけよう。
  • 二、重要性に応じて物事を処理すること。
  • 三、問題に直面したとき、決断に必要な事実を握っているのだったら、即刻その場で解決すること。決断を延期してはならない。
  • 四、組織化、代理化、管理化することを学ぼう。

第27章 疲労や悩みの原因となる倦怠を追い払うには

人間は心をはずませながら何か興味深いことをしていると、めったに疲れない。
どうすればよいか? 毎日自分自身と競争する、自分の仕事に興味を持っているふりをする、毎朝自分自身に励ましの言葉をかけるなど、仕事をおもしろいものにしようとする。

第28章 不眠症で悩まないために

  • 一、眠れないときには、眠くなるまで起きて仕事をするか、読書をしよう。
  • 二、睡眠不足で死んだ者はいないことを思い出そう。不眠症について悩むことが、睡眠不足以上に有害なのだ。
  • 三、祈るか、詩編二十三を繰り返し読むこと。
  • 四、身体の力を抜くこと。
  • 五、運動をしよう。起きていられないほど肉体を物理的に疲れさせること。