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「決断力」と「大局観 自分と闘って負けない心」を読んだ

現在43歳、王位・王座・棋聖の三冠を保持し、永世六冠も獲得している羽生善治氏の本です。先月、「大局観 自分と闘って負けない心」が Kindle版として新発売(?)されていたので、「決断力」と合わせてまとめ読みしてみました。

Amazonの評価では、「大局観」は「決断力」の続編とも書かれていましたが、なるほど、大枠では内容も似ていて、「大局観」というキーワードも「決断力」の中に出てきています。しかしながら、「決断力」は2005年7月(34歳時点)、「大局観」は2011年2月(40歳時点)に書かれているので、約5年半の開きがあります。二冊まとめて読むことで、5年半で変わったことと変わらず大事にされているものが分かり、とても面白く感じました。

決断力 (角川oneテーマ21)

決断力 (角川oneテーマ21)

例えば、リスクに対しては「決断とワンセット」、恐れず挑戦すべきものという感じだったのが、40歳を過ぎ、より積極的にリスクに向き合い、変化を渇望しているように感じました。

また、コンピュータとの対局に関しては、

私は、コンピュータが将棋の可能性を読み尽くして必勝法を発見したら、対戦してみたいと思っている。人間と指す印象と違うのではないだろうか。コンピュータの強さはどういうものか。おそらく人間の強さとは異質なものだろう。
(略)
将棋の未来について付け加えると、私は楽観しているほうだ。たとえコンピュータが必勝法を見つけ出したとしても、それを人間が理解することはできないだろう。だからそんなことよりも、面白い将棋を指したい。楽しい将棋がいい。まだまだ広がっている未開の地平を開拓していくような、そんな将棋を指し続ていきたいと思っている。

「決断力」 第四章より

から、

もちろん、「やってみたい」という気持ちは大いにある。どんな将棋を指すのか、やはり興味があるのだ。


「大局観 自分と闘って負けない心」 第五章より

へと若干の心境の変化が見て取れます。
しかしながら、コンピュータと現役プロ棋士との対局「電王戦」はこの一年後の2012年から始まっているので、現在の心境はどのようなものか、大変興味があります。

真面目に挑戦し続けるビジネスマンに、勇気を与える二冊です。