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スマホアプリのクロスプラットフォーム開発の最新事例と今後の展望 ~Titanium Mobile、Yubizo Engine、XPLATFORM~3社の最新事例と今後の展望~

昨日、スマホ関連のセミナーに行ってきました。

「スマホアプリのクロスプラットフォーム開発の最新事例と今後の展望~Titanium Mobile、Yubizo Engine、XPLATFORM~3社の最新事例と今後の展望~」(2012.6.27)


ワンコードでiPhone/Android対応のスマホアプリ開発ができるフレームワークを提供している3社が揃い、スマホのハイブリッド開発の現在と未来について語るという、内容盛りだくさんのセミナーでした。


Titanium Mobile 増井雄一郎氏(Appclerator Inc.)

増井氏の講演は他のセミナーで何度か聴いたことがあるので、気になったところだけ。

  • iPhone/Android同一コード開発で、6( or 7)割〜9割のコードが共通化できる。
  • TitaniumのJavaScriptにはDOMがないので、jQueryを使うシーンはないはず。
  • 最近、Titanium Mobile 2.0がリリース。
    • クラウドサービス「Appclerator Cloud Service」が目玉。
    • サーバ側でAPIを提供。ゲームのスコアを記録するサービスなどを簡単に作れる。


 

XPLATFORM 崔彰桓氏(トゥービーソフト・ジャパン)

韓国トゥービーソフト社が開発した、BtoBの業務用アプリをターゲットにしたUI開発プラットフォーム「XPLATFORM」についての説明でした。

  • 開発言語はJavaScript。1つのコードでマルチプラットフォーム対応が可能。
  • 各ブラウザ製品(IE、FF、SafariOperaChrome)への対応も不要。
  • 生産性は30%くらい高くなる。
    • 各OSを同時開発でき、ブラウザ間のギャップもFWで吸収してくれるので。
  • コンセプトは、Titanium Mobileとほぼ同じ。ただし、完全に業務向け。
  • GUIツールを使ってUIデザインを開発できる。


 

Yubizo Engine 深野 慧甫氏(アイキューブドシステムズ)

福岡のITベンチャーが開発した、企業向けに特化したスマホアプリのための開発プラットフォーム「Yubizo Engine」の紹介でした。「App Storeで配布できない」という思い切った戦略がミソですね。

  • 言語は、HTML5(+CSS)+JavaScript
  • App Storeで公開できない。インハウスでの配布のみ。
    • 遠隔管理のために、デバイスの情報を拾ってくるので。
  • UXを充実させるためには、短納期が必要。使い心地を実際に見てもらうため。
    • 過去の実例では、デモ作成に1時間、納品までたった10日とか。
  • 開発スピード3倍UP、運用コスト70%OFF。

 

3社によるパネルディスカッション

講演者の方々がパネラーとなり、スマホアプリのハイブリッド開発の現状と将来についてディスカッションがおこなわれました。すごく面白かったので、少し詳しめに。


クロスプラットフォーム対応で開発するメリットとは?

  • 開発の生産性はもちろんのこと、教育コストも下がるというのもメリット。(増井)
  • JavaObjective-Cもバッチリできるという開発者は意外と少ない。

日米韓の違いは?

  • 日本は新しいものを受け入れる文化がない。一度慣れたらそのまま。何か決めるのにも時間がかかる。(崔)
  • 韓国は競争が激しいので、少しでも効率がよいものを探して、他の企業よりも優位に立とうとする。韓国人はせっかち。(崔)
  • 米も効率重視、日本はクオリティ重視。(橋本)
  • 米は社内のIT部門が開発をする場合がほとんど、日本は分業が基本。
    • 仕様が社内で閉じている理由もあり、米ではFWなどのツールが使われやすい。
    • 日本の企業はFWを使った場合のリスクが取れない。(増井)

デザインについて

  • iPhone/Android両方の技術に精通できなくても、両者のUIには精通すべき。(橋本)
  • 韓国では、業務用システムでもデザイナーが入る。エンジニアがデザインまでやることはまずあり得ない。(崔)

コストについて

  • Titamiun Mobileは基本無料で使える。サポートが必要なときのみ有料。(増井)
  • XPLATFORMは導入費用が高め。正直、10画面程度のアプリだと採算が合わない。最低50画面くらいの規模でないと。(崔)
  • Yubizo Engineは年間ライセンスが5ユーザで20万円。遠隔保守は保守運用費をもらいやすいモデルなので、年間ライセンスというスキームが合ってるかも。(深野)

クロスプラットフォームの今後

  • クロスプラットフォーム以外の軸での競争が激しくなると思う。(増井)
  • 自動化テストがキーになる。個人的には、ベンダと連携してテストも一括で提供できればと。(崔)

 

感想

気合いを入れて最前列で聞いていたのですが、内容盛りだくさんで面白かったです。
結局、3プロダクトそれぞれのターゲットをまとめると、

  • Titanium Mobile・・・小中規模アプリ
  • XPLATFORM・・・企業向け大規模アプリ
  • Yubizo Engine・・・企業向け小中規模アプリ(+遠隔機能)

てな感じですかね。


増井氏が自プロダクトのマイナス面の情報も前向きに開示していこうというのに対し、他のお二方はメリットばかりを強調してたなぁという印象を受けました。純粋に「開発スピード3倍アップ」は正直、疑問です。いろんな条件や初期学習コストもあるだろうし。Appclerator社としては、コミュニティにどんどん使ってもらって、その先のグローバルスタンダードを目指しているのでしょう。オンプレミスのビジネスモデルをメインにしている他社さんと違うのも当たり前なのかも。


あと、崔氏の話は面白かったなぁ。韓国のIT業界は進んでますねー。
もっといろいろ頑張らなきゃ。