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「コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと」を読んだ

GW中に読み終えた二冊目は、KADOKAWA・DWANGO会長 川上量生氏の最新刊「コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと」です。

川上会長がスタジオジブリでプロデューサー見習いとして働いていたことは、知ってる人なら知っている有名な話ですが、その二年間の卒論として書かれたのがこの本ということです。


以前の著作「ルールを変える思考法」の中で、川上会長が「コンテンツとは、わかりそうで、わからないものである」という定義を唱えていて、その根拠として、生物の情報処理の進化の過程でわかりそうでわからない微妙なものをわかろうとすることが生存に有利であったという生存本能を挙げ、「わからないもの」や「わかってしまったもの」は人々の興味が薄れていき時代とともに消えていくという論理展開をしていたのですが、それが大変興味深く、今回の最新刊「コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと」でもそういったところを期待していました。


今回の「コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと」では、コンテンツは、

  • 現実を学ぶ教材としての、現実の模倣(シミュレーション)
  • 現実世界を特徴だけで単純化してコピーした脳の中のイメージの再現
  • クリエイターのヴィジョンを表現したもの

である、という定義を掲げています。

どういうことなのか?という細かいネタ晴らしは書きませんが、アリストテレスの『詩学』や脳科学、人体構造学など根源的なところから説明されていて、「体の構造上、関節はそっちには曲がりません」的に説明されると「なるほど、そうだよな」と納得せざるを得ないのです(笑)。それが痛快なのですけれど。


本の中で一番面白かったのは、脳は情報量が多いものをそのまま記憶することができないという構造上の問題から、

よく物事の本質とはなにかと問いますが、物事を記号化して少ない情報量で表現したものがその正体でしょう。なぜ本質が必要かというと、脳は単純な情報しか扱えないからだと思います。

と言及しているのには、思わず目からウロコでした。「何のこっちゃ、よく分からん」という人は前後を読んでいただければ、納得していただけると思います。
脳科学が好きな人にもオススメな本です。

参考