高校の頃、地理を選択していたというのもあって、世界史、特に「西洋史」が自分の知識からすっぽり抜けているというのがずっと気になっていたのです。で、昨年一年かけて、
をコツコツ読んでいたのです。
高校世界史の先生が作り上げたサイトだけあって流れが分かりやすく書かれていて、恥ずかしながら知らなかったことも多く、すごく勉強になりました。
そうしたところ、年末に
という記事を読んで、西洋美術やクラシックについてもベースを勉強しておきたいなと思い、
西洋美術史入門
- 作者: 池上英洋
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/02/06
- メディア: 新書
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西洋音楽史―「クラシック」の黄昏
- 作者: 岡田暁生
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 新書
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の二冊を読んでみました。
受験勉強的な作品・作者・年号の網羅ではなく、時代背景やその作品が生まれた過程などの「構造」をざっくり理解したい、と思っていた私にとって、ちょうどよい本だったと思います。
読んでみてまず感じたのは、「世界史講義録」を読んでおいてよかったな、むしろ読んでなかったらヤバかったな、と。両書とも(当然のことですが)西洋史の知識ありきで書かれているので、それ無しに西洋美術史、西洋音楽史の流れを理解することはできません。
次にハッとしたのは、「西洋美術史入門」に書かれている、
P.89
つまりすべての絵画に、それを買う人がいた(あるいはそれを想定して描かれた)わけです。
P.94
必要性が無いかぎり絵が描かれることはない ーこれが原則なのです。
という一文でした。
なるほどつまり、近代以前のすべての芸術作品は何らかのニーズがあってこそ生まれるわけで、その存在理由を考えるのがその作品を理解するための鍵になるというわけですね。
そのニーズとは、
教会
↓
君主や貴族
↓
富裕層
↓
市民
↓
探求・趣味としての芸術(近代以降)
というように時代に合わせて変遷していて、近代以前のほぼ全ての芸術作品は教会や富裕層などのパトロンがあってこそ生まれたとのこと。
すなわち、時代や環境が作品を作るのであって、芸術作品が時代を作ったというわけではなく、その時代を彩ったというだけ。歴史上の大天才も時代が違えばその名作を残せていたとは限らない、というのは面白い考察だと思いました。
また、昔の一般市民は識字率が低かったためにプロパガンダとしての役割を美術作品が持っていた、というのも非常に面白い指摘でした。
読み進めていて、美術史、音楽史それぞれの時代区分をビジュアルで見ておきたいなぁと思っていたのですが、
西洋美術史なら、
西洋音楽史なら、
の図が、両書に書かれている区分にほぼ近いと思います。
で、二つの区分を、私なりの理解で無理やりガッチャンコしてみました。
時代区分 | 年代 | 概要 | 美術家 | 音楽家 |
古代 | 前3000年頃~200年頃 | エジプト文明・メソポタミア文明・古代ギリシャ・ローマ | ー | ー |
中世 | 200年頃~1400年頃 | キリスト教文化の時代(ビザンティン美術・ロマネスク様式・ゴシック様式) | ー | ー |
ルネサンス | 1400年頃~1600年頃 | 古代文化の再評価 | ドナテッロ/レオナルド・ダ・ヴィンチ/ミケランジェロ/ラファエッロ | デュファイ/ジョスカン/パレストリーナ |
バロック・ロココ | 1600年頃~1750年頃 | 絶対王政(フランス貴族)の時代 | ベルニーニ/カラッチ/カラバッジョ/プッサン/ルーベンス/ヴェラスケス/レンブラント/フェルメール/ハルス/デ・ホーホ/ロイスダール/ヴァトー/ブーシェ/フラゴナール | モンテヴェルディ/ヴィヴァルディ/ヘンデル/バッハ |
古典派・ロマン派 | 1750年頃~1920年頃 | 古代・中世文化の再評価、写実主義 | ダヴィット/アングル/ジェリコー/ドラクロワ | ハイドン/モーツァルト/ベートーヴェン/シューベルト/シューマン/リスト/ワーグナー/ブラームス/ベルリオーズ/ロッシーニ/ヴェルディ/スメタナ/ドヴォルジャーク/チャイコフスキー |
西洋音楽史の本を読んでから聞いたCD。クラシックの入門編して。でも、曲の途中でフェードアウトされているのもあって、気に入った作曲家を見つけるためのデータベースとして聞くのがいいのかも。
- アーティスト: オムニバス(クラシック),マイゼン(パウル),フロリサン(レザール),エンゲル(カール),ウィーン・ハイドン・トリオ,アモイヤル(ピエール),イギリス室内管弦楽団,クリーヴランド管弦楽団,バーゼル交響楽団,カツァリス(シプリアン),トーゾ(ピエロ)
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2005/12/21
- メディア: CD
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最後に、歴史上の事件が時代の転換期になったという視点があると思うのですが、重要と思われる事件を書き出してみました。
年代 | 事件 |
前750年頃 | 古代ローマ建国 |
313年 | ミラノ勅令(コンスタンチヌス帝がキリスト教を公認) |
392年 | ローマ帝国がキリスト教を国教に |
395年 | ローマ帝国が東西に分裂 |
476年 | 西ローマ帝国滅亡 |
610年 | イスラム教が創始 |
1096年 | 第一次十字軍 |
1339年 | 英仏百年戦争はじまる |
1347年 | ヨーロッパにペストが流行 |
1356年 | 神聖ローマ皇帝が金印勅書発布 |
1378年 | ローマ教会が分裂 |
1453年 | 東ローマ帝国(ビザンツ)帝国がオスマン・トルコに滅ぼされる |
1492年 | コロンブスが新大陸を発見 |
1517年 | ドイツ、ルターの宗教改革 |
1519年 | マゼランの世界周航 |
1581年 | オランダが独立を宣言 |
1600年 | イギリスが東インド会社設立 |
1661年 | フランス、ルイ14世の親政(絶対王政の最盛期) |
1680年 | ベルサイユ宮殿が完成 |
1748年 | ポンペイ発掘 |
1765年頃 | イギリス、産業革命 |
1776年 | アメリカ独立宣言 |
1789年 | フランス市民革命 |
1804年 | フランス、ナポレオンが皇帝に |
参考
2014/2/9 追記
本屋の平積みで見つけたこの本。一曲一曲に解説があって、Amazonの評価では「曲のフェードアウトがない」とのことだったので買ってみました。(評価に書いてあったように)解説がややゴシップ系が多かったのはまあいいとして、曲のフェードアウトがあったのは残念。。
CD4枚付 完全保存版 さわりで覚えるクラシックの名曲100選
- 作者: 名曲を伝える会
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2013/12/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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西洋美術の本も買い足してみました。「西洋美術史入門」と同じ絵画が多く紹介されているほか、美術館ごとにまとまっているのですごく読みやすかったです。値段もリーズナブルでオススメ。
- 作者: 大友義博
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2014/01/20
- メディア: 大型本
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