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「西洋美術史入門」と「西洋音楽史―「クラシック」の黄昏」を読んだ

高校の頃、地理を選択していたというのもあって、世界史、特に「西洋史」が自分の知識からすっぽり抜けているというのがずっと気になっていたのです。で、昨年一年かけて、

をコツコツ読んでいたのです。

高校世界史の先生が作り上げたサイトだけあって流れが分かりやすく書かれていて、恥ずかしながら知らなかったことも多く、すごく勉強になりました。

そうしたところ、年末に

という記事を読んで、西洋美術やクラシックについてもベースを勉強しておきたいなと思い、


西洋美術史入門

西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)

西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)


西洋音楽史―「クラシック」の黄昏

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)


の二冊を読んでみました。
受験勉強的な作品・作者・年号の網羅ではなく、時代背景やその作品が生まれた過程などの「構造」をざっくり理解したい、と思っていた私にとって、ちょうどよい本だったと思います。


読んでみてまず感じたのは、「世界史講義録」を読んでおいてよかったな、むしろ読んでなかったらヤバかったな、と。両書とも(当然のことですが)西洋史の知識ありきで書かれているので、それ無しに西洋美術史西洋音楽史の流れを理解することはできません。


次にハッとしたのは、「西洋美術史入門」に書かれている、

P.89
つまりすべての絵画に、それを買う人がいた(あるいはそれを想定して描かれた)わけです。

P.94
必要性が無いかぎり絵が描かれることはない ーこれが原則なのです。

という一文でした。
なるほどつまり、近代以前のすべての芸術作品は何らかのニーズがあってこそ生まれるわけで、その存在理由を考えるのがその作品を理解するための鍵になるというわけですね。

そのニーズとは、

教会
 ↓
君主や貴族
 ↓
富裕層
 ↓
市民
 ↓
探求・趣味としての芸術(近代以降)

というように時代に合わせて変遷していて、近代以前のほぼ全ての芸術作品は教会や富裕層などのパトロンがあってこそ生まれたとのこと。

すなわち、時代や環境が作品を作るのであって、芸術作品が時代を作ったというわけではなく、その時代を彩ったというだけ。歴史上の大天才も時代が違えばその名作を残せていたとは限らない、というのは面白い考察だと思いました。
また、昔の一般市民は識字率が低かったためにプロパガンダとしての役割を美術作品が持っていた、というのも非常に面白い指摘でした。



読み進めていて、美術史、音楽史それぞれの時代区分をビジュアルで見ておきたいなぁと思っていたのですが、
西洋美術史なら、

西洋音楽史なら、

の図が、両書に書かれている区分にほぼ近いと思います。

で、二つの区分を、私なりの理解で無理やりガッチャンコしてみました。

時代区分 年代 概要 美術家 音楽家
古代 前3000年頃~200年頃 エジプト文明メソポタミア文明古代ギリシャ・ローマ
中世 200年頃~1400年頃 キリスト教文化の時代(ビザンティン美術・ロマネスク様式・ゴシック様式
ルネサンス 1400年頃~1600年頃 古代文化の再評価 ドナテッロ/レオナルド・ダ・ヴィンチミケランジェロ/ラファエッロ デュファイ/ジョスカンパレストリーナ
バロックロココ 1600年頃~1750年頃 絶対王政(フランス貴族)の時代 ベルニーニ/カラッチ/カラバッジョプッサンルーベンス/ヴェラスケス/レンブラントフェルメール/ハルス/デ・ホーホ/ロイスダール/ヴァトー/ブーシェフラゴナール モンテヴェルディ/ヴィヴァルディ/ヘンデル/バッハ
古典派・ロマン 1750年頃~1920年 古代・中世文化の再評価、写実主義 ダヴィット/アングル/ジェリコードラクロワ ハイドンモーツァルトベートーヴェンシューベルトシューマン/リスト/ワーグナーブラームスベルリオーズロッシーニヴェルディスメタナドヴォルジャークチャイコフスキー


西洋音楽史の本を読んでから聞いたCD。クラシックの入門編して。でも、曲の途中でフェードアウトされているのもあって、気に入った作曲家を見つけるためのデータベースとして聞くのがいいのかも。

クラシック・ベスト200

クラシック・ベスト200



最後に、歴史上の事件が時代の転換期になったという視点があると思うのですが、重要と思われる事件を書き出してみました。

年代 事件
前750年頃 古代ローマ建国
313年 ミラノ勅令(コンスタンチヌス帝がキリスト教を公認)
392年 ローマ帝国キリスト教を国教に
395年 ローマ帝国が東西に分裂
476年 西ローマ帝国滅亡
610年 イスラム教が創始
1096年 第一次十字軍
1339年 英仏百年戦争はじまる
1347年 ヨーロッパにペストが流行
1356年 神聖ローマ皇帝が金印勅書発布
1378年 ローマ教会が分裂
1453年 東ローマ帝国ビザンツ)帝国がオスマン・トルコに滅ぼされる
1492年 コロンブスが新大陸を発見
1517年 ドイツ、ルターの宗教改革
1519年 マゼランの世界周航
1581年 オランダが独立を宣言
1600年 イギリスが東インド会社設立
1661年 フランス、ルイ14世の親政(絶対王政の最盛期)
1680年 ベルサイユ宮殿が完成
1748年 ポンペイ発掘
1765年頃 イギリス、産業革命
1776年 アメリカ独立宣言
1789年 フランス市民革命
1804年 フランス、ナポレオンが皇帝に

参考

2014/2/9 追記

本屋の平積みで見つけたこの本。一曲一曲に解説があって、Amazonの評価では「曲のフェードアウトがない」とのことだったので買ってみました。(評価に書いてあったように)解説がややゴシップ系が多かったのはまあいいとして、曲のフェードアウトがあったのは残念。。

CD4枚付 完全保存版 さわりで覚えるクラシックの名曲100選

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西洋美術の本も買い足してみました。「西洋美術史入門」と同じ絵画が多く紹介されているほか、美術館ごとにまとまっているのですごく読みやすかったです。値段もリーズナブルでオススメ。

名画の教科書 西洋絵画BEST100 (TJMOOK)

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