東大卒プロポーカープレイヤーという異色の経歴を持つ、木原さん二冊目の本。
木原さんとは顔見知りで何度か話したこともあるのですが、「ああ、木原さんならこう言いそう」と違和感の全くない内容で、木原さんの顔が何度も浮かんでは語りかけてくるような不思議な感覚を覚えました。
- 作者: 木原直哉
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2013/10/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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私なりの理解では、
- 確率思考は、合理的・客観的・長期的な視点で物事を見るための重要なスキルであるから必要不可欠
- 運は神の領域で不可侵であるが、運を捉えるためにも確率思考が重要
- 一方、人の一生では確率は収束しないので、割り切るところは割り切らないと
というのが木原さんの思考の根底にあるのかな、と。
著作で何度も言及されている「バックギャモン」というボードゲームを私もやるので、確率思考は多少は身に付けているものと自負しているのですが、さすがに木原さんほどは徹底しておらず。まあ彼の場合は、徹底というか、ブレないというか、ある意味で真理に到達しているようにも感じました。
同じく「思考法」の本ということで、ドワンゴ川上会長の「ルールを変える思考法」を Kindle版で読みました。
木原さんの本と偶然にも同じ事柄に言及している部分があって、面白いなと感じました。
- 作者: 川上量生
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: Kindle版
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例えば、
- 現実社会はターンが長く結果が見えにくい。なので、(結果が反映されやすい)ゲームを「思考力を鍛えるトレーニング」として扱うのはよい
- 偶然や運までを含めて、個人の「才能」
などなど。
他にも後半に、「リスクを背負って勝負に出るときに『覚悟』を持つ」というのもあるのですが、木原さんの確率思考で言えば、「勝負に出るときのリスクを確率的に徹底検証せよ」となるのでしょうか。
バックギャモンをやっていると、全くリスク無しに勝利できることは稀で、「どこかでリスクを承知で勝負に行かなければいけないタイミングがある」という感覚が染み付いてきます。そういった場面で、リスクを確率的に判断できるかどうか、リスクを受け入れて勝負に行けるかどうか、が勝利への鍵なのではないか。
木原さんと川上会長の本を読んで、改めてそういった考えを強くしました。
おまけ。
これまで川上会長の「4Gamer.net」の連載記事を何度か読んでいて、「コンテンツとは、わかりそうで、わからないものである」というキーワードがあったのですが、そのときは正直「何のことだろうな」と思っていたのが、第三章で詳しく説明されているのを読んで、ストンと体に落ちました。
生物の情報処理の進化の過程で、「わかりそうでわからない微妙なものをわかろうとすることが生存に有利であった」という生存本能を起源とする説から理論を発展させ、「わからないもの」や「わかってしまったもの」は人々の興味が薄れていき時代とともに消えていくという進化論で説明していました。なるほどなぁ、と。もちろんあくまで仮説ですが。
2014/5/6追記
木原さんにサインしてもらいました。
ありがとうございまーす!!^o^